肛門の働き
肛門は消化管の最後に位置する部位です。便とガスを出し分ける機能があり、かつそれらが体外へ出ないよう、しっかり閉じる役割を担っています。さらに便意を感じた際には、便を排出するために出口を緩めます。このように、肛門には収縮と弛緩を上手くコントロールする機能を持っているのです。
この絶妙なコントロールは、内肛門括約筋と外肛門括約筋、そして肛門周辺の血管が形成するクッションによって実現されています。肛門の疾患が進行すると、これらの機能が障害され、生活の質(QOL)が低下する恐れがあります。
肛門と直腸の境界に位置する歯状線には、肛門陰窩(こうもんいんか)と呼ばれる小さな凹みがあり、ここには肛門腺からの分泌物が出る出口が存在します。肛門は皮膚で覆われ、直腸は粘膜であるため、いぼ痔が歯状線のどちらに形成されるかによって、症状や治療法に違いが生じるのです。
当院の肛門科について
当院は肛門科(肛門外科)の専門診療を提供しており、痔やその他の肛門疾患に対して幅広い診察を行っています。軽い症状を相談するのはもちろん、当院をセカンドオピニオンとして利用していただくことも可能です。また、痔の日帰り手術などといった根治治療にも対応しており、新宿区における肛門科クリニックとしての質の高いサービスを提供しています。
さらに、大森院は東京都内の76医院のみ認定されている「大腸肛門病認定施設」です。認定施設として高い医療サービスを提供していきますので、どうぞ安心して当院をご利用ください。
診察を希望される方へ
診察をご希望の方は、専用の予約枠をご利用いただけます。診察のご予約は、当院のオンライン予約システムを通じて事前に行ってください。
日帰り手術を検討される方へ
痔の日帰り手術については即時対応が難しいため、事前に当院での外来診察をお受けください。診察では、手術の必要性を評価し、検査内容についての説明を行います。日常生活に関する制限が生じるため、お手数ですが事前にスケジュールの調整をお願いします。
「肛門科へ行くのは恥ずかしい」とお悩みの方へ
- 当院では、肛門科の診察を完全個室で行っています。診察室の外からは中の様子が分からないような作りになっています。
- 診察には女性スタッフが必ず立ち会います。男性医師が主に対応しますが、患者様が男性医師と2人きりになることはありません。
- できる限り診察は迅速に進められるよう努めていきます。患者様のストレスを最小限に抑えるために、長時間にわたる診察は避けています。
いぼ痔・切れ痔・あな痔について
いぼ痔(痔核)
痔は主にいぼ痔、切れ痔、あな痔(痔ろう)の3種類に分かれており、この中で一番多く見られるのはいぼ痔です。いぼ痔は、肛門が圧迫などで負担がかかることで肛門周囲の毛細血管がうっ血し、腫れてしまう病気です。主な原因としては、便秘や下痢、アルコールの過剰摂取、体の冷え、刺激物の摂取、排便時の過度ないきみなどが挙げられます。
肛門上皮側にできたものを「外痔核」、直腸側にできたものを「内痔核」と呼び、それぞれに合った治療法が必要です。また、出る症状も異なっており、外痔核は痛みを伴うことが多いのに対し、内痔核は出血や痔核の脱出をきっかけに気づかれるケースが少なくありません。現代では、外用薬や内用薬、注射などのお薬で治せる場合が多くなっています。
切れ痔(裂肛)
便の硬さや激しい下痢により、肛門が切れたり裂けたりする状態です。強い痛みを伴いますが、早期治療を行うと、痛みは比較的速く和らぎます。出血はあるものの、出血量が多くなるケースはあまり見られません。便秘が続くと症状が慢性化しやすく、繰り返し裂傷が生じると潰瘍や瘢痕ができ、肛門が狭くなります。そこからさらに、裂傷が生じやすい状態になります。さらに、肛門ポリープの形成も見られることがあります。
初期段階では薬物治療で改善する可能性がありますが、便秘の改善も不可欠です。再発予防のためにも、便秘でお悩みの方はぜひ便秘改善に取り組んでいきましょう。
症状が進行すると、手術を余儀なくされるリスクもあります。
あな痔(痔ろう)
肛門と直腸の間には歯状線があり、そこには肛門陰窩というくぼみがあります。あな痔とは、その肛門陰窩に便が侵入し、細菌感染を起こして化膿することで起こる病気です。
健康な状態ですと、便が肛門陰窩に入ることはありません。しかし、免疫力が落ちている時に下痢などを起こし、便が侵入することで細菌が感染し、化膿してしまうケースがあります。主な症状は化膿による腫れや痛み、発熱などで、悪化すると膿が出口を求め、肛門周囲の組織を通過し、皮膚に達する管状のトンネルを形成します。このトンネルが開くと膿が排出され、症状は一時的に改善されますが、トンネル自体は残ってしまいます。これが痔ろうの状態です。痔ろうは自然には治らず、治療法は手術しかありません。
当院で行える肛門日帰り手術
注射と切除による日帰り手術
痔の治療法として、注射と切除の2つの方法があり、どちらも日帰り手術が可能です。
- 注射:痔に注射をすることで、痔を小さくする方法です。
- 切除:痔を切除して取り除く方法です。
さらに、オプションとしてレーザー治療を選択することもできます。レーザー治療は、痛みが少なく、治癒期間が短いというメリットがあります。
切れ痔に対する保存的治療と手術
切れ痔の場合、基本的には保存的治療が選択されます。しかし、お尻が極端に狭くなっている場合は、手術が必要になることがあります。
- 手術:肛門括約筋の一部を切開し、肛門の狭窄を解消する方法です。
この手術も日帰りで受けることができます。
痔瘻に対する日帰り手術
痔瘻は、痔の穴を取り除く手術で日帰り手術が可能です。
- 切開開放術、くり抜き術など、様々な術式があります。
患者さんの状態に合わせて最適な手術方法を選択します。
肛門科診察の風景・イメージ
肛門科の診察では、患者様のプライバシーとリラックスを最優先に考えています。診察台に横になっていただき、左側臥位という体位で診察を行います。左側臥位とは、体の左側を下にして横向きになる姿勢のことです。
この体位は、肛門の状態を医師が確認しやすく、患者様自身も力を抜きやすい姿勢です。
恥ずかしさへの配慮
診察時は、患部以外はタオルで覆い隠しますので、ご安心ください。また、常に女性スタッフが診察室に同席いたします。
リラックスして受診を
肛門科の診察は、デリケートな部分であるため、不安や恥ずかしさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、当院では患者様の気持ちに寄り添い、安心して診察を受けていただけるよう、スタッフ一同心がけております。何かご不安なことがあれば、遠慮なくお申し付けください。
肛門科に関するよくある質問
肛門科ではどのような症状を診てもらえますか?
肛門科では、痔に関わるあらゆる症状を診察してもらえます。例えば、痛み、痒み、出血、違和感、またお尻の変形なども相談できます。
痔にはどのような種類がありますか?
痔には大きく分けて内痔核、外痔核、痔ろう、切れ痔の3種類があります。
痔の治療法にはどのようなものがありますか?
こ痔の種類によって治療法は異なります。
- 内痔核の場合、痔核注射という手術法や切除という方法があります。
- 痔ろうに関しては、基本的には切除となります。
- 切れ痔に関しては、軟膏などで治る場合があります。
肛門科の診察は恥ずかしいのですが、どのような服装で行けば良いですか?
脱ぎ着しやすい服装が一番良いですが、どのような服装でも診察を受けることができます。
肛門科の診察で痛みを伴うことはありますか?
肛門科の診察では、肛門鏡といった機械をお尻の中に入れて診ることが多いため、痔自体に痛みがある場合には痛みが出てしまうことがあります。
しかし、多くの方は力が抜けていれば痛みが出ることはありません。
痔の予防法はありますか?
痔の予防として一番大事なのは、お酒を避けること、激辛のような刺激物を避けることです。また、運動することも大切です。
排便時に出血がありますが、痔ですか?
痔のことが多いとは思われますが、大腸からの出血の可能性も否定できません。痔のことが多いですが、消化器官の出血の可能性もあります。
妊娠中に痔になりましたが、治療できますか?
痔の種類にもよりますが、治療は可能です。
市販薬で痔を治すことはできますか?
切れ痔であれば注入軟膏で治ることもありますが、多くの場合は難しいと思われます。
肛門科を受診するタイミングは?
恥ずかしさが先行して我慢してしまう方が多いですが、症状が押しにある場合は早めに受診することが、早く治すことへの近道です。