足の付け根に力を入れると痛む原因
足の付け根に力を入れたときに痛みを感じる場合、主に以下のような原因が考えられます。
筋骨格の問題
足の付け根は広い可動域を持つため、筋肉や筋膜、関節、骨に問題があると痛みが生じることがあります。特に、筋肉や関節の炎症や損傷が関連することが多いです。
外見的な腫れを伴う痛み
ヘルニアや感染による腫れが原因の場合もあります。この場合、力を入れたときや腹圧がかかったときに特有の痛みが現れることがあります。
鼠径ヘルニアによる痛みの特徴
鼠径ヘルニアが原因の場合、初期症状として、立ったときや力を入れたときにしこりが出現し、痛みが伴うことがあります。
これは、腹圧がかかることで腸が鼠径部の弱い部分から押し出されるためです。
特に、初期のヘルニアは**嵌頓(かんとん)**と呼ばれる状態になりやすく、小さな袋状の部分に腸が入り込んで血流が遮断されるリスクがあります。
この状態は早期の治療が非常に重要です。
類似した症状
足の付け根に力を入れたときの痛みや違和感は、次のような状況で感じられることがあります
検査項目
- 重いものを持ち上げたとき
- しゃがんだり踏ん張ったりしたとき
- 排便時に力を入れたとき
- 筋トレや運動をしたとき
これらの状況で腹圧がかかると、痛みが顕著になる場合があります。特に立った状態で力を入れたときに症状が出やすいのが特徴です。
症状が現れたら早めの受診を 足の付け根の痛みは、筋骨格系の問題だけでなく、鼠径ヘルニアの初期症状である可能性もあります。痛みや腫れ、赤みがある場合は、早めに医師の診察を受けることをお勧めします。
放置した際のリスク
足の付け根に力を入れると痛みが生じる場合、その症状を放置すると、原因となる疾患によっては重大なリスクを伴うことがあります。
以下に主なリスクを挙げて説明します。
鼠径ヘルニアや大腿ヘルニアの場合
鼠径ヘルニアや大腿ヘルニアが原因の場合、痛みを伴う腫れが続くようであれば注意が必要です。
特に、腸管が押し出された状態(嵌頓)が3時間以上続くと、血流が遮断されて腸管が壊死する可能性があります。この状態をさらに放置すると、次のようなリスクが生じます。
- 腸管の壊死: 壊死した腸管を切除するための大きな手術が必要になります。
- 敗血症: 壊死した腸管から出た有害物質が体内に回ることで、全身に炎症が広がる
致命的な状態に陥る可能性があります。 これらの事態を避けるためにも、早期の受診が非常に重要です。
感染性の腫れ(膿瘍)の場合
感染が原因で赤く腫れた場合、放置すると膿瘍が破裂することがあります。膿が外に出ることで一時的に痛みが和らぐこともありますが、根本的に治療しない限り、同じ症状が再発する可能性があります。
また、膿瘍が破裂する際に周囲の組織に炎症が広がることで、痛みや腫れの範囲が大きくなることもあります。
自然治癒する場合もあるが…
軽度の症状であれば、自然に治る場合もありますが、原因を正確に診断しない限りリスクを完全に排除することはできません。
放置して状態が悪化した場合、治療が複雑化し、回復までの時間が長くなる可能性があります。
考えられる病気
足の付け根に力を入れた際に痛みを感じる場合、以下のような病気が原因である可能性があります。
鼠径ヘルニア
鼠径部の筋膜という薄い部分に腹圧がかかり続けることで、内臓(特に腸)が押し出されて袋状になる病気です。特に力を入れたときに痛みや違和感を覚えることが特徴です。
鼠径部のリンパ節の腫れ
感染や炎症が原因でリンパ節が腫れると、痛みや腫れが生じます。場合によっては全身の病気が隠れていることもあります。
動脈瘤や静脈瘤
血管の一部が膨らむ病気で、膨らみが大きくなることで痛みや不快感を伴うことがあります。
感染性の腫れ(膿瘍)
感染による膿が溜まる状態です。力を入れた際に痛みが強くなり、患部が赤く腫れることがあります。
ヌック管水腫
女性に多い病気で、足の付け根に水の袋のような腫れができる状態です。触ると柔らかく感じられることが特徴です。 これらの病気の原因や症状はさまざまですが、診断には専門医の評価が必要です。痛みが続く場合や気になる症状がある場合は早めの受診をお勧めします。
治療方法・受診科目
足の付け根に力を入れた際の痛みの治療方法は、原因となる病気によって異なります。以下に主な治療法をまとめました。
鼠径ヘルニア
診断にはエコーやCT検査が用いられることが多く、治療は手術が基本です。最近では、体への負担が少ない腹腔鏡手術が主流です。
鼠径部のリンパ節の腫れ
必要に応じて腫れたリンパ節を切除し、顕微鏡で病理診断を行います。感染やがん転移が原因である場合、適切な治療が必要です。
動脈瘤や静脈瘤
経過観察が基本ですが、必要に応じて動脈瘤にはカテーテル治療、静脈瘤には瘤の切除などの治療を行います。
感染性の腫れ(膿瘍)
膿を排出し、患部を清潔に保つことで症状を改善させます。再発を繰り返す場合には、感染部位を切除する場合もあります。
ヌック管水腫
手術による治療が可能ですが、症状が軽微な場合は経過観察が選択されることもあります。 受診科目: 外科、内科、血管外科、皮膚科など、症状に応じて適切な科を受診してください。
当院の外科外来にお越しください
鼠径ヘルニアの治療は、再発のリスクを考慮しても、現在主流となっている腹腔鏡手術が最適です。この手術方法では、お腹の内側からヘルニアの穴を塞ぐため、体への負担が少なく、確実な治療が可能です。
また、近年では日帰り手術が選択されることも多くなっています。 当院では、腹腔鏡を用いた鼠径ヘルニアの手術を実施しており、日帰り手術にも対応しています。
専門の医師が丁寧に診察し、患者さま一人ひとりに最適な治療プランをご提案いたします。 診察や手術に関するご相談は、24時間対応のオンライン予約システムをご利用いただけます。
少しでも気になる症状がある方は、どうぞお気軽に当院の外科外来へお越しください。