胆石とは
胆石は、コレステロール結石、ビリルビン結石、黒色石の3種類に大別されます。
これらの中で胆嚢に最もよく見られるのはコレステロール結石で、全体の約75%を占めています。かつては欧米諸国での発症が多かったコレステロール結石ですが、日本でも西洋式の食生活が広まるにつれて、胆石症の症例が増えつつあります。
胆石の症状について
胆石が存在しても、多くの方には症状が現れません。しかし、右肩のこりや背中の鋭い痛み、上腹部の違和感などを急に引き起こすことがあります。
また、脂質の多い食事を摂った後に、上腹部の不快感や、右肩から右背部にかけての鈍痛が続くこともあります。胆石発作は軽い痛みで終わることもありますが、発症した時の炎症が重いと、救急車を呼ぶほどの激痛や発熱、嘔吐、黄疸(おうだん)などの重篤な症状を伴う恐れもあります。
胆石ができる原因
日本における胆石の主な原因は、食生活の変化にあります。脂肪分の多い食事が一般的になったことで、胆石の発生率が上がっています。特に、食事に含まれるコレステロールが胆石形成に大きく関わっています。
一度でもできてしまった胆石は非常に小さいものを除いて、自然に消失することはほとんどありません。
胆石の検査・診断
胆石の診断では、血液検査と超音波検査が用いられます。血液検査では胆道系の炎症や黄疸を、超音波検査では胆嚢内の石の有無とそのサイズをチェックします。さらに詳細な検査が必要な場合は、CTや内視鏡検査が行われます。
胆石の合併症
胆石の合併症として一番多く見られるのは胆嚢炎です。胆石によって胆嚢に炎症が生じます。
胆嚢は総胆管を通じて膵臓付近を通過し、十二指腸へ繋がっています。この管が胆石によって塞がれると、炎症が発生することがあります。総胆管結石によって引き起こされる胆管炎や急性膵炎は、抗生剤が豊富にある現代でも重篤な感染症を起こし、場合によっては命に関わることもある病気です。治療は手術だけでなく、内視鏡処置や血管内治療が必要なケースもあります。さらに、長期の入院を余儀なくされる可能性もあります。
高齢の方ですとがんのリスクも伴い、胆石症の手術を受けた方の中には実際にがんが見つかるケースも少なくありません。炎症が繰り返されていると、CTや超音波検査では正確な診断が困難なこともあるため、特に高齢の方は要注意です。
胆石症と胆のうがんリスクの関係性
胆のうは、胃カメラや大腸カメラ検査のように、内視鏡の挿入ができない部位です。通常は超音波検査やCTによって、間接的に診断されます。内視鏡を用いた組織検査を行うこともできないため、胆のうがんの早期発見は非常に困難を極めます。また、胆のうの壁は非常に薄いので、胆のうがんができてしまうと、他の多くの臓器への転移も早く進んでしまいます。
残念ながら、胆のうがんと胆石症との関連性につきましては、未だに明確には証明されていません。しかし、多くの研究では、胆石と肥満が胆のうがんのリスク要因として挙げられています。国立がんセンターの研究では、胆石がある方はない方と比べて、胆のうがんのリスクが2.5倍もあるとされています。さらに、女性では3.2倍高いと報告されています。
もちろん、これらの数値が高いと見るかどうかは個人の判断によります。しかし、胃がんのリスクに対するピロリ菌の除菌と同様に、胆石による慢性的な炎症・胆汁成分の変化から、胆のうがんを引き起こす可能性があるとも考えられます。
さらに、胆石の診断を経てからある程度の時間が経過した方や、胆石があって腹痛や違和感を伴っている方は、胆のうがんの発生率が高いとされています。また、結石の大きさや数によっても、発生率が変わるという報告もあります。
したがって、胆石の診断から長期間経過している場合や、結石のサイズはもちろん量もあるケース、また胆嚢内に結石がかなり溜まっている場合は、医師に相談することをお勧めします。