鼠径ヘルニアの初期症状とは
鼠径ヘルニアは足の付け根、いわゆる鼠径部に発生することが多い病気です。初期症状としては、立ったり力を入れたりすると鼠径部に膨隆が現れ、寝るとその膨隆が戻るという現象が一般的です。多くの患者さんがこのような症状を訴えます。
この状態を放置しておくと、ヘルニアの穴が徐々に大きくなり、それに伴って腸が出てくる量も増えてしまいます。
最悪の場合、腸管の大部分が鼠径部から外に出てしまうこともあります。
私がこれまでに見た最もひどいケースではヘルニアがスイカほどの大きさにまで膨れ上がっていました。
早期発見の重要性
鼠径ヘルニアは直接命に関わる病気ではありませんが、早期発見は非常に重要です。特に、ヘルニアの穴に腸がはまり込んで戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」という状態が発生すると、重大なリスクが伴います。
嵌頓の状態が3時間以上続くと腸管が腐ってしまう可能性があります。痛みを伴う場合や、鼠径部が赤く腫れてくる場合には緊急で腸管切除を伴う手術が必要となることが多いです。嵌頓状態を放置すると、腸管が壊死し、最悪の場合ショック状態に陥るリスクがあります。
自己診断の方法
鼠径ヘルニアの自己診断方法として、立ったときに鼠径部に膨らみが現れ、横になるとその膨らみが引っ込む場合、ヘルニアである可能性が高いです。鼠径ヘルニアは手術でしか治癒できないため、違和感を感じたらすぐに病院の先生に相談することが重要です。
自己診断のポイントとして、膨らみが立ったときに出現し、横になると引っ込むことが挙げられます。しかし、鼠径ヘルニアにはいくつかの種類があり、正確な診断は医師にしかできません。特に外科の専門医に相談するのが望ましいです。
一部の人が「ヘルニアバンド」と呼ばれる患部を圧迫して膨らみを抑える器具を使用していますが、これは根本的な解決にはなりません。治癒には手術が必須となるため、早期に医師の診断を受けることが大切です。
診断方法と検査の種類
鼠径ヘルニアの診断は、主に医師の診察による触診で行われます。外来での診察でヘルニアの有無を確認することが多いです。この触診によって、鼠径部の膨らみや異常を確認することができます。
必要に応じて、エコー検査やCT検査を実施することもあります。特に、鼠径ヘルニアが戻らない場合や疑わしい症例では、エコー検査やCT検査が有効です。
これらの検査によって、腸管の状態や血流の確認を行います。 嵌頓ヘルニアなど、腸管が戻らない場合には、急に戻すことは避けるべきです。
時間が経過して腸管が壊死している場合、急に戻すと血流に悪い物質が流れ込み、ショック状態を引き起こすリスクがあるためです。そのため、エコーやCT検査を用いて慎重に診断を行います。
早期発見のための生活習慣の見直し
鼠径ヘルニアの予防には、生活習慣の見直しが重要です。鼠径ヘルニアは、筋膜が重なる部分に負荷がかかり続けることで発生するため、特にインナーマッスルを鍛えることが重要です。インナーマッスルには、腹横筋や外腹斜筋などが含まれます。これらの筋肉を鍛えるためのトレーニングを行うことで、鼠径ヘルニアの予防に効果があります。
日常生活でできる簡単な予防方法としては、毎日散歩をするなど、定期的に体を動かすことが推奨されます。特別な運動をする必要はありませんが、体を動かすことが大切です。
また、筋力が低下して太り始めると腹圧が高くなり、鼠径ヘルニアのリスクが増します。したがって、太らないようにすることも予防策の一つです。
さらに、腹圧を高める行動を避けることも重要です。例えば、便秘で無理に排便しようとすると腹圧が高まり、鼠径ヘルニアのリスクが増します。このような行動は他の病気にも影響を及ぼすため、改善することが望ましいです。