大腸ポリープ
大腸カメラによる検査では、自覚症状のない大腸ポリープがしばしば見つかります。
これらのポリープの多くは良性ですが、時には大腸がんへと進行するリスクもあります。そのため、検査で前がん病変とみなされるポリープは、その場で除去されることが多いです。この処置によって、将来的な大腸がんのリスクを減らすことができます。
早期大腸がん
大腸ポリープと同じように、自覚症状が少ない早期大腸がんも、定期的な大腸カメラ検査で見つかるケースが多いです。
早期の段階でしたら、内視鏡を用いた切除手術によって治癒できる可能性が高いです。
進行大腸がん
大腸がんが進行すると、血便や残便感、腹痛、便秘や下痢を交互に繰り返す、便が細くなるなどの症状が起こります。しかし、これらの症状は他の大腸疾患でも起こり得るものです。
また、症状が軽いことも多く、血便を痔と思って診断が遅れてしまう方もおられるので、慎重な観察が求められます。
適切な治療としては、外科手術や化学療法が挙げられます。
感染症腸炎
細菌やウイルスの感染により、腸炎が発生することがあります。主な症状には下痢や腹痛がありますが、血便、発熱、吐き気、嘔吐、食欲減退なども見られることがあります。
下痢と嘔吐が同時に起こると、脱水症状が急速に悪化する恐れがあります。
乳幼児や高齢者は特に脱水がひどくなりやすいので、早いうちから受診するのが重要です。
虚血性腸炎
生活習慣病による動脈硬化によって、大腸の血流が障害されることがあります。これが原因で炎症や潰瘍が生じ、腹痛、下痢、下血、血便などの症状が現れることがあります。
症状が軽い場合は、安静にしていれば改善する可能性がありますが、重篤な状態になると手術を余儀なくされることもあります。
大腸憩室症
憩室(けいしつ)とは、大腸の粘膜が外側へポケットのように突出したものです。
憩室ができたからといって症状を引き起こす可能性は極めて低いのですが、炎症が生じると大腸憩室炎になり、腹痛や血便を引き起こしてしまいます。
大腸カメラ検査による止血処置で改善できますが、状態が重い場合は手術が必要となるかもしれません。
クローン病
下痢や血便、腹痛を引き起こす病気で、現在のところ完治する治療法は確立されていません。このため難病に指定されています。
しかし、炎症を抑える治療を行って症状を管理していけば、ほぼ発症前の生活を送ることは可能です。
食事制限や栄養療法が必要な場合もあるので、医師の指導のもとで治療を継続することが大切です。
潰瘍性大腸炎
下痢、血便、腹痛を引き起こす炎症性腸疾患の1つです。現在のところ根治する方法がなく、難病とされています。しかし、炎症を抑える治療を行って症状を管理し続けていけば、発症前とそこまで変わらない生活を過ごすことができます。
クローン病とは異なり、潰瘍性大腸炎の炎症範囲は大腸のみです。ただし、症状が改善したからといって治療を中断すると、炎症が再発する恐れがあるため、良くなっても治療は継続しましょう。
過敏性腸症候群
腹痛、腹部の不快感、便秘や下痢などの便通に関する異常が見られる病気です。
ただし、これらは器質的な原因ではなく、腸の機能障害や過敏性によるものです。
ストレスが原因で症状が現れることもあり、生活の質(QOL)を損なう可能性があるため、早期の対応が推奨されます。